災害時にも安心な仮設トイレ

災害時に1番困るのはトイレ!!

近年は、大きな地震だけでなく、ゲリラ豪雨や大雪などの災害が増えています。災害時はライフラインが止まり、復旧までにかなりの時間を要します。ライフラインが止まると、一番困ることはトイレです。食料や毛布は各家庭で備蓄していてもトイレまで用意している家庭はまだまだ少ないのではないでしょうか。

今回は、災害時に役立つ仮設トイレについて徹底解説します。

 

 

・災害時は仮設トイレが届きづらい

 

国土交通省の資料によると、災害が発生したときに3日以内に仮設トイレが設置された場所は、わずか34%でした。1週間が経過すると約半数に設置され、場所によっては1か月以上かかっていることもあります。

仮設トイレがすぐに届かない理由はいくつもあります。災害時は、交通網が遮断されたり、渋滞になったりします。仮設トイレは、トラックに積んで運ばれるため、道路が使えなくなれば運ぶこともできません。

また、仮設トイレは災害が起きたときに国や自治体が業者からあまっている仮設トイレをレンタルして避難所などに設置します。被災地が狭い地域ならば、周辺の業者から必要数を確保することができますが、東日本大震災のような大災害や首都圏の人口密度が高い場所では仮設トイレ数が不足することが考えられるのです。

災害時は、支援をする人も被災者です。支援を頼りにするだけではなく、自分で備えておく意識が大切です。

 

参考資料「国土交通省 災害時のトイレどうする」:https://www.mlit.go.jp/common/001180224.pdf

 

 

・仮設トイレの洗浄方法

 

仮設トイレと聞いて「工事が大変そう」「使いにくそう」と思う人も多いのではないでしょうか。現在の仮設トイレは進化しています。

ここからは、知っているように知らない「仮設トイレの洗浄方法の種類」についてお話しします。

 

<非水洗式>

非水洗式は、水を一切使いません。いわゆる「ボットン便所」と呼ばれていた古いタイプのトイレです。水を使わないメリットはありますが、匂いや衛生面が気になるため現在はあまり使わることはありません。

 

<簡易水洗式(軽水洗ペダル式)>

 

簡易水洗式は、仮設トイレ内に備え付けてあるタンクに水を入れて使います。トイレを使った後にペダルを踏むとタンクの水が流れて汚物を流します。現在の仮設トイレで一番人気です。

簡易水洗式のメリットは、給排水設備がない場所にも設置できることです。しかも、一度に使う水は約300cc(使用する水の量は機種によって異なります)のため、水を運ぶ手間も心配ありません。デメリットは、流した汚物が仮設トイレ下部の便槽にたまるため、汲み取り作業が必要なことです。使用する水量によって汲み取り頻度は変わりますが、500Lの便槽ならば4人で1か月程度が目安です。汲み取り作業は、業者に依頼します。

 

<循環式>

 

循環式は、し尿処理装置を設置し、再生処理した水を使って水洗します。使いやすいメリットはありますが、設置の手軽さは簡易水洗式の方が高いでしょう。

 

<その他>

 

他にも上下水や電源に接続ができる場合は圧送式や吸引式があります。圧送式は、上下水に接続することで汚物を水と一緒に圧力で流します。吸引式は、便座の下にタービンを設置し圧力差を利用して洗浄します。

仮設トイレの洗浄方法は多く、設置する場所の条件に合わせて選ぶことができます。

 

 

・仮設トイレを備蓄しておきたいところ

 

災害時は一番トイレに困ります。トイレを我慢してしまうと体調を崩し、避難生活はさらに苦しくなってしまいます。

ここからは、災害に備えて仮設トイレをとくに備蓄しておきたいところと理由をお話しします。

 

<会社>

 

東日本大震災は、多くの人が会社や学校にいた時刻に発生したため、多数が帰宅難民となりました。非常食や毛布は備蓄していても、トイレは使い捨てタイプが多く「あるけど使いにくい」という状況だったようです。

会社と同じように多くの人たちが集まる学校では、マンホールトイレの工事が急速に進んでいます。マンホールトイレは、下水につながるマンホールの上に便座を設置し、プールの水を使って洗浄します。衛生的に使える災害時のトイレとして急速に普及しているのです。しかし、会社は学校ほどマンホールトイレが普及してはいません。仮設トイレは、いざというときに従業員を守る大切な備品です。

 

<マンション>

 

頑丈なマンションに住んでいる人は、在宅避難が現実的かもしれません。災害に備えて日ごろからバスタブに水を貯めている家庭も多いのではないでしょうか。しかし地震によってライフラインが止まったときには、お風呂の水で強制的にトイレを流すことはやめましょう。排水設備が壊れたときには、上層階から流された汚物が低層階のトイレからあふれ出る可能性があります。

マンションによっては使い捨てトイレを備蓄していることがあります。しかし、災害時はごみ収集も止まる可能性があり、各家庭から出された大量のごみが処理できないこともあります。

とくに大規模マンションでは、災害時に備えて仮設トイレの備蓄をおすすめします。

 

<高齢者や女性がいる世帯>

 

災害が発生したとき、高齢者や女性はとくにトイレに困ります。仮設トイレの前には長蛇の列ができ、足が悪い高齢者は並ぶだけでも大きな負担です。また、深夜の仮設トイレに女性が一人で行くことはさまざまなリスクが考えられます。

高齢者や女性がいる世帯は「我が家専用のトイレ」を備えておくことで、心身ともに災害に備えることができるのではないでしょうか。

 

 

・おわりに

 

トイレがない生活は考えられず「あることが当たり前」です。しかし、水洗トイレは上水道と電気と下水道のどれかひとつが損傷を受ければ、いつも通り使うことはできないのです。

災害時は、日常が一変します。とくにトイレは体調に直結する要です。準備ができる平常時に仮設トイレについて真剣に考えてみてはいかがでしょうか。